トレーサビリティとシリアルナンバー印字の取り組み

業界スペシャリストの意見

ラベリング技術の進歩が、トレーサビリティとシリアルナンバー印字の取り組みを強力に後押し

Bob Neagle(ボブ・ニーグル)、ビデオジェット社二次包装ビジネスユニットマネージャー
 

業界のアナリストたちは、医薬品業界の収益が最近 1 兆ドルを超えたと見積もっています1 。新興市場が業界の成長を過度に押し上げており、2016 年までに総売り上げのおよそ 30 % を構成するものとみられます2。しかしながら、差し迫った脅威は拡大を続ける偽造医薬品の問題で、公益医薬品センターの推定によると、偽造医薬品は既に総売り上げの 7.5 % に相当する 750 億ドルを超えています3。医薬品のサプライチェーンを保護するために、医薬品メーカーの多くはシリアルナンバーを印字する包装ソリューションを導入済み、あるいは現在導入を進めています。これにより完全なトレーサビリティとサプライチェーンの安全性が提供され、製品の完全性と患者の安全が確保されます。高精度の印字およびマーキング技術は、正確なラベル付けのために非常に重要です。正確なラベル付けは、シリアルナンバー印字の取り組みの成功を保証し、製品のリコールや制裁金の回避につながります。ラベリング技術の進歩により、医薬品メーカーは消費者の安全性とブランドの完全性を強化しながら、法規制の要件を満たすことができます。

医薬品業界は現在、収益が大幅に増加しており、2013 年から 2018 年にかけて、世界的には 4 % から 7 %、米国市場では 5 % から 8 % の年間利益が予測されています。
その一方で、新興市場では同じ時期に平均 8 % から 11 % の成長が見込まれます。この傾向通り、中国は既に日本を抜いて世界第 2 位の医薬品市場になっています4。こうした商機と同時に、業界は偽造、盗難、製品リコール、出荷の遅延など、サプライチェーンに関する、数多くの難しい課題に直面しています。世界保健機関は、世界中で供給されている医薬品の 10 % が偽造品であると見ており、新興国では市場の 30 % にも上ると見積もられています。さらに、物流セキュリティのトップ企業である、物流セキュリティサービスプロバイダーの Freight Watch International社の最近の報告によると、米国ではトラックに満載された医薬品の積荷の盗難数が 50 % はねあがり年間 33 件となり、平均損失額は 261,819 ドルとされています。

これらの課題を解決するために、多くの国では、サプライチェーンを通して医薬品のトレーサビリティの要件を決定しています。その一例が EU 指令 2011/62/EU です。これは、EU 圏内を流通するすべての医薬品にシリアルナンバーまたは固有のマーキングを包装ごとに印字することを義務付けるもので、これにより、製品をサプライチェーン全体で追跡し、製造元をたどることができます。同様に米国では、医薬品サプライチェーン安全保障法(DSCSA)により、医薬品メーカー、リパッケージャー、卸売業者、調剤師に取引情報を交換することが義務付けられています。こうすることで、ロット番号により医薬品を検証できるようになります。この法令では、医薬品メーカーに、2017 年までに生産ラインをアップグレードして固有のシリアルナンバーを製品の包装に印字することが規定されています。また、2023 年までに、工場から薬局の陳列棚まで医薬品を追跡できるように、電子的なマーキングを実施することも義務付けられています。

新興市場の主要国も、医薬品にシリアルナンバーを印字する取り組みを始めています。ブラジルでは、医薬品のトレーサビリティに関する規則が制定されています。この規則では、すべての医薬品メーカーは、シリアルナンバー印字と、固有の製品 ID、ブラジルの衛生監督局 (ANVISA) への登録、消費期限、ロット番号などを組み合わせた、はっきりと読みやすいテキストによる追跡データを提供することが義務付けられています。一方、アルゼンチンでは、サプライチェーンのセキュリティを専門に扱う国際的な非営利団体 GS1 が開発した基準を採用しています。この基準では、固有のシリアルナンバーおよび国際取引商品番号 (GTIN) を含むバーコードを、最小の密封可能な個別包装ごとに印字することが義務付けられています。

高精度の印字およびマーキング技術は、サプライチェーン全体で ID リーダーと人の目の両方で読みやすい印字を生成することで、これらの要件を満たすために重要な役割を果たします。印字およびシリアルナンバー印字ソリューションは、包装の種類にかかわらず、人にも機械にも判読可能な、高品質のマーキングを提供する必要があります。新たな法規制に従うには、より小さなスペースに、より信頼性の高いデータをより多く印字できる技術が必要です。シリアルナンバーは、ブリスター包装や瓶、ペットボトルなどの 1 次包装、厚紙製の箱などの外箱、パレットなどの 3 次包装など、さまざまなレベルの包装に印字される必要があります。これらの課題を解決するために、医薬品メーカーは、生産効率を高め、稼働時間を最大化しながら、シリアルナンバー印字の要件を満たすことができる、効率的で革新的、かつ信頼性の高い、可変データの印字およびマーキング技術への投資を続けています。

プリンタ搭載ラベラー技術は、医薬品メーカーが技術的な改善を望んでいる分野の 1 つです。ラベラー技術は 20 年近く大きな変化がありませんでしたが、プリンタ搭載ラベラーシステム Videojet 9550 に導入されている Intelligent Motion™ (インテリジェントモーション) 技術 (ラベル経路を正確に制御して、タンプやエアブラスト装置を使うことなく、適切な張力を維持可能) など、最近になって技術革新が行われています。この進歩により、プロセス手順が 1 つ不要になり、包装工程に必要な時間とリソースを削減できます。機器は、精度を高めるために自動的に制御され、消耗部品が大幅に削減されています。そのため、修理や交換を最小限に抑えることができます。その結果、サービスを実施する必要が減り、処理能力が向上し、メンテナンス費用を節減できます。

工場エアが必要かどうかは、ラベルの貼付方法によって異なります。Direct Apply™ (ダイレクトアプライ) や「ワイプ」式のラベラーはエアを必要としないので、送気管の導入費用と継続的なランニングコストの両方を節約できます。一般的に、工場エアの使用を排除することは、エネルギー使用量や二酸化炭素 (CO2) 排出量の削減など、多くの製造施設が取り組んでいる環境対策と足並みを揃えることができます。

可変情報を高速で印字できることは、医薬品のシリアルナンバー印字にとって非常に重要です。ラベラー 9550 は、一般的な 4” x 6” の GS1 バーコードラベルを 1 分あたり最大 150 パックという処理能力を実現する合理的な設計により、この課題に対処します。使いやすく、直感的なタッチスクリーンのインターフェイスは、印字ミスを削減し、全体的な効率を向上させます。さらに、ラベラー 9550 は、自動化された医薬品の生産ラインに簡単に組み込むことができ、製品の集約情報を含む外箱ラベルを印字して貼付できます。

グローバルなトレーサビリティとシリアルナンバー印字の取り組みは、偽造、盗難、リコール、患者の生命を危険にさらしかねない遅延など、サプライチェーンの失策を避けるために非常に重要です。ラベル技術の進歩により、医薬品メーカーは法的な要件を満たし、サプライチェーンを世界的に強化することができます。医薬品メーカーは、広範な専門知識、機器、補給部品を持ち、ニーズに合わせてカスタマイズしたソリューションを提供できる、トレーサビリティ技術のプロバイダーと提携する必要があります。このような提携は、患者の安全性、ブランドの完全性、ラベル貼付速度、効率性の改善をもたらすことができ、患者、規制当局、メーカーを含むすべての関係者にとって有益です。

製品詳細については、プリンタ搭載ラベラー Videojet 9550
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