
FSMA 204として知られる米国FDAの食品トレーサビリティ最終規則は、サプライチェーン全体のトレーサビリティを強化することにより、食品の安全性を向上させるための重要なステップです。食品トレーサビリティリスト(FTL)に記載されている食品を取り扱う場合は、記録の維持、トレーサビリティロットコード(TLC)の割り当て、マーキング・印字工程の統合に関する特定の要件に準拠する必要があります。
コンプライアンス準拠に向けた各ステップ
ステップ 1: 主要な要件を理解する
FSMA 204は、「食品トレーサビリティリスト(FTL)に記載された食品を製造・加工・包装、または保管する者に対して、食品のサプライチェーンにおける特定の重要な追跡イベントの主要なデータ要素を保持し、サプライチェーンパートナーに提供することを要求」しています。
- クリティカルトラッキングイベント(CTE、重要な追跡イベント):栽培、入荷、変換、出荷、収穫、冷却、一次包装など、サプライチェーンの重要なポイント
- キーデータエレメント(KDE、主要データ要素): 製品の説明、ロット番号、日付、場所、数量など、各 CTE に関連付けられた具体的な情報
これらの記録はTLC(トレーサビリティ・ロットコード)に紐づけられており、リコールやアウトブレイクの発生時に食品の流通経路をサプライチェーン全体で追跡できるようになっています。TLCは一意の英数字からなる識別子であり、各トレーサビリティ記録を繋ぎ合わせるために、FTL対象食品に関する特定のCTE(重要な追跡イベント)に割り当てらます。
- TLCは、商品(食品)にすでに印刷されているロット/バッチコードを含んでいる場合があります
- TLCは、FSMA 204コンプライアンスにおいて中心的な役割を果たします。このコードを割り当てることにより、サプライチェーン全体にわたるトレーサビリティが確保されます
- 食品が再包装または加工された場合、新しい包装にオリジナルのTLCまたは新しいTLCのいずれかが反映されていなければなりません
CTE、KDE、TLC の詳細については、 FDA のこのドキュメントをご覧ください。
ステップ 2: TLC の割り当てと管理
これらのコードは食品のロット番号を一意に識別し、そのロット番号を重要な追跡記録に紐づけるするために使用されます。これによってリコールやアウトブレイクが発生した際に迅速な追跡を可能にします。
- TLC を割り当てるタイミング:
- 漁船以外から得られた生鮮農産物(RAC)の初回包装時
- 漁船から得られた食料が初めて陸上施設で受け取られたとき
- 食品に変化があるとき(例: 混合・再包装・ラベリングのし直し)
- TLCの割り当てに関するベスト プラクティス:
- 重複を避けるために、ロットごとに一意の英数字コードを使用してください
- 記録内の各 CTE のすべての KDE にコードが紐づいていることを確認してください
- 免除対象の事業者からFTL食品を受け取った場合(それが小売食品施設またはレストランによる受領でない限り)、TLCが存在しなければTLCを割り当ててください
- 商品の製造場所の識別子を含めることを検討してください。FDA(米国食品医薬品局)はこれを『the traceability lot code source』 (トレーサビリティロットコードの発信元)と呼んでいます。
- TLCを使用する場所:
TLCはさまざまな方法で食品の次の受領者と共有することができ、受領者は必要なトレーサビリティ情報にアクセスできるようになります。ただし、受領者が規則に基づいて必要な記録を保持できるように、受領者にとって適した形式でTLCを提供する必要があります。必ずしも食品自体にコードを表示する方法が最適とは限りません。共有の方法には以下のようなものがあります。- 運送上:出荷時の書類にTLCを含める
- 事前出荷通知(ASN):食品が配送される前にTLCを電子的に提供する
- 電子メール: 商品とは別にTLC を送信する
- パッケージ: 一次・二次包装または関連文書に、QRやDataMatrixコードなどの機械でスキャンできる二次元コード を印刷する
- 包装: GS1-128バーコードを一次および(または)二次包装に印刷する
このように共有の方法に柔軟性があり、企業は業務に最も効率的な方法を選択できます。
- トランスフォーメーションイベント:
食品トレーサビリティリスト(FTL)に記載されている食品の再包装は、FDAの食品トレーサビリティルールに基づくトランスフォーメーションイベントと見なされます。トランスフォーメーション(変換)と見なされるイベントには、混合・再包装・ラベルの再貼付など、食品またはその包装を変更するあらゆる活動が含まれます。ただし、結果として得られる食品が引き続きFTL食品であることという条件があります。ここでは、知っておくべきポイントをご紹介します。- トランスフォーメーションイベントとして認められるものは?
- 食品の製造または加工
- 混合・再包装・ラベルの再貼付による食品の変更
- 食品の包装・梱包の変更
- 新しいTLCが必要な場合
- 通常、再梱包された製品には新しいTLCが必要です
- ただし、再梱包に同じトレーサビリティロットの品目を組み合わせる場合 (同類どうしの組み合わせ)、元のTLCが保持される場合があります
元の TLC が保持されている場合、コンプライアンスを維持するために追加の手順が必要です。
- トランスフォーメーション(変換)の記録の保持
- 再梱包前後のロットコードが同一であることを文書化します
- トレーサビリティロットコードのデータソースを更新し、再梱包が発生したロケーション情報を反映します
- トランスフォーメーションイベントとして認められるものは?
ステップ3:トレーサビリティ計画の策定
FSMA 204 では、トレーサビリティ記録・コード・ラベルを管理するための明確な戦略を持つことを目的としてトレーサビリティプランを策定することが求められます。このプランには次の要素を含める必要があります。
- すべてのCTEに関して、KDEおよびTLCをどのように取得・保存・維持するか
- これらの記録の記録形式(書類・電子データ)とロケーション
- TLCをFTL食品に割り当てるための詳細な手順
- 取り扱っているFTL食品の一覧と、それらをどのように適切に追跡し、TLCを付与し、追跡記録に含めるかの方法
- 農場の場合は、栽培エリアまたは水産養殖コンテナを示す詳細な地図を含め、各場所の地理座標および識別子を記載
- トレーサビリティ計画の管理と、記録・TLC・コンプライアンスに関する質問への回答を担当する責任者の連絡先を指定
ステップ4:トレーサビリティシステムの実装
FSMA規則204に準拠するには、記録・コード・ラベリングを統合する堅牢なトレーサビリティシステムが必要です。このシステムは、精度とアクセシビリティを確保しつつ、サプライチェーンパートナーとの間でトレーサビリティ情報を円滑に共有できるように設計されている必要があります。
- デジタルツールの採用:
- ERP (基幹業務システム) 、ブロックチェーン技術、またはその他の電子記録管理ソリューションを使用して、KDE、CTE、TLC を追跡します
- システムがTLCを含むラベルを生成でき、なおかつ変換または再包装の際にラベルデータを更新できる状態にします
- 従業員のトレーニング:
- TLCの割り当て方法、ラベルの更新方法、トレーサビリティデータの正確な入力方法に関するトレーニングを提供します
- FDAから記録またはトレーサビリティ情報に関する要求があった場合の迅速な対応方法を従業員に教えておきます
- 定期的な監査の実施:
- トレーサビリティシステムを定期的に見直して、KDE、TLC、およびラベルが正しく保持されていることを確認してください。
- FDAが定める24時間以内の期限内にデータを取得・共有できるかどうか、プロセスをテストしてください。
ステップ5:サプライチェーンパートナーとの協力
エンドツーエンドのトレーサビリティを実現するには、サプライチェーンパートナーとの強力な連携が必要です。これには、システムの整合性をとること、トレーサビリティデータを共有すること、TLCがサプライチェーンを通じて確実に製品を追跡される状態とすることが含まれます。
- 記録管理の整合:
- サプライヤー・流通業者・その他のパートナーと協力して、KDEとTLCを確実に取得・共有できるようにしてください
- 食品が再包装または変換された後でも、すべてのラベルに正しいTLCが含まれていることを確認してください
- トレーサビリティ情報の共有:
- 各 CTE において、 KDE・TLC・およびその他の必要なデータを交換してください
- パートナーが、FSMA規則204のもとでトレーサビリティを維持する上での自らの役割を理解していることを確認してください
最新のニュースをリアルタイムでお届けします:
コンプライアンスタイムラインの改訂
2025年3月20日、FDA(米国食品医薬品局)は、食品トレーサビリティ規則(Food Traceability Rule)の遵守期限を30か月延長する意向を発表しました。当初の期限は2026年1月20日とされており、新たな延長後の遵守期限はまだ正式には確定していないものの、事業者が規則の要件を完全に実施するための追加期間が設けられる見込みです。
追加期間の中で、次のことができます。
- 今すぐ準備を始める:現在のトレーサビリティシステムを評価し、ギャップを特定し、要件を満たすためにプロセスの改善を開始します
- FDAのリソースを活用する:FDAが提供するガイダンス、ツール、移行期間中の規制当局との対話の機会を活用します
- パートナーとの連携:タイムラインが延長される状況を活かして、サプライチェーンパートナーとの間で記録管理システム・TLC・ラベリングの運用についての整合性とります
この延長期間中に規則の要件に積極的に対応することで、貴社は完全な遵守に向けた体制を整えると同時に、より安全で透明性の高い食品サプライチェーンの構築にも貢献することができます。
ビデオジェットがどのように役立つか
印字・マーキング・印刷ソリューションのグローバルリーダーであるビデオジェットは、食品メーカーがFSMA 204のトレーサビリティとラベリング要件に準拠するために必要なツールを提供しています。この規則では、食品包装上に明瞭で消えにくいTLCの表示を行うことが求められており、ビデオジェットの高度なソリューションはこの表示のプロセスを簡素化するよう設計されています
ビデオジェットは、連続式インクジェットプリンタ(CIJ)、サーマルインクジェットプリンタ(TIJ)、サーマルプリンタ (TTO)、レーザーマーカー、大文字用インクジェットプリンタ、ラベラーなど、食品メーカーの多様なニーズを満たすためのさまざまなテクノロジーを提供しています。これらのソリューションには次のような特長があります。
- ロット番号・日付・バッチコード・その他の生産識別子などの重要な情報を含む二次元トレーサビリティコードの印刷に対応する、柔軟性の高いラインナップである
- 高品質で機械可読性のあるコードをプラスチック、ガラス、段ボール、軟包装用フィルムなど、さまざまな包装材料に印字できる
- 高速の処理・信頼性の高いパフォーマンスにより、 高速生産が行われる環境をサポートします
- 既存の生産ラインへシームレスに組み込めることから、ダウンタイムを最小限に抑え、効率性を確保するために役立つ
ビデオジェットは、堅牢なハードウェアに加えて、メーカーが FSMA 204 のトレーサビリティ要件に対処するのに役立つソフトウェアとサポートを提供します。これらのソリューションには、次のものが含まれます。
- VideojetConnect™ (ビデオジェットコネクト) ソフトウェアは、TLCを主要データ要素(KDE)に紐づけ、ERP、MRP、MESなどの基幹業務システムと統合するために使用できます
- Videojet CLARiSUITE® (クラリスイート) によるデータ管理は、オペレーターが入力したデータやプリンタに送信されたデータをログファイルに記録し、それをCSVにエクスポートすることができます。ビデオジェットのパートナーのサポートにより、リアルタイムのデータ管理が実現し、サプライチェーンパートナーやFDAとのトレーサビリティ記録の共有を簡素化することができます。
- オペレーターのトレーニングと技術サポートは、一貫した印字品質と規制遵守の維持に役立ちます
- カスタマイズされたサービスプランにより、ダウンタイムを最小限に抑え、機器のパフォーマンスを最大化することができます
ビデオジェットは、印字・マーキング・トレーサビリティに関するソリューション、サポート、そしてパートナーネットワークをもって、お客様のオペレーション効率と食品の安全性を向上させながら、FSMA 204の要件を確実に満たすためのお手伝いをいたします。