定格:作業環境に適したマシンの選択 IP保護等級とは?IP54とIP65の違いと選び方 - ビデオジェット

IP 保護等級とは:生産環境に合った装置を選ぶためのガイド

IP 保護等級は、産業用の装置が粉じんと水からどれだけ守られているかを示す指標です。厳しい環境で信頼性と安全性を保ち、規格への適合を示すために使われます。この等級を読めるようになると、装置の破損を防ぎ、停止時間を減らし、設備を長く使うための機種選定ができるようになります。

IP 保護等級とは何か、なぜ重要なのか

IP は Ingress Protection(侵入に対する保護)の略で、IP 保護等級は、固体物や粉じん、水などの液体の侵入に対して装置がどこまで保護されているかを表す標準化されたコードです。装置や電子部品が厳しい条件にさらされる生産現場では、この等級が機種選定の判断材料になります。

IP 保護等級は IEC 60529 で定義されています。電気・電子機器の筐体が粉じんや液体の侵入にどれだけ耐えるかを等級で表す国際規格で、筐体内部の危険な部分にどれだけ触れやすいかもあわせて評価します。IEC 60529 の等級を取得していることは、北米以外の地域で製品を販売するうえでの前提になります。

日本国内では JIS C 0920(電気機械器具の外郭による保護等級) が IEC 60529 に対応しています。

IP コードはどのような仕組みか

IP コードは「IP」の文字と、それに続く1桁または2桁の数字で構成されます。1桁目が固体物・粉じんに対する保護、2桁目が水などの液体に対する保護を表します。

たとえば IP65 なら、粉じんの侵入がなく、あらゆる方向からの噴流水に耐えることを示します。

IP 6 5

 │ └── 水に対する保護レベル

 └───── 固体物・粉じんに対する保護

固体物・粉じんに対する保護レベル

1桁目は 0(保護なし)から6(粉じんの侵入なし)までの範囲で、数字が大きいほど粉じんや固体物に対する保護が強くなります。

産業用の装置で実際に問題になるのは5と6の違いです。5は粉じんの侵入を完全には防ぎませんが、動作に支障が出る量は入りません。6は粉じんが侵入しません。

水に対する保護レベル

2桁目は0(保護なし)から8(水中での連続使用)までの範囲です。それぞれのレベルは、どのような条件の水に対して筐体が耐えるかを規定しています。滴下、噴霧、飛まつ、噴流と、想定する水のかかり方が段階的に厳しくなります。

産業用の装置で IP 保護等級が重要な理由

適切な IP 保護等級を選ぶことは、粉じんと水分による損傷を防ぎ、停止時間を減らし、装置の寿命を延ばし、作業者の安全を守ることにつながります。

筐体の IP 保護等級を考慮しなかった場合、粉じんについては次のことが起こり得ます。

  • 部品に粉じんが堆積し、絶縁体のように働く
  • ファンなど可動部が堆積した粉じんで詰まる
  • 着脱する部品に付いた粉じんが電気接点を遮る
  • 湿度と粉じんの量によっては、電気部品が正常に動作しない、または短絡する
  • 部品が過熱し、故障や性能低下につながる

液体については次のことが起こり得ます。

  • 水分が装置内に引き込まれて部品に付着し、腐食や錆を招く
  • 筐体に入る水分が多いと、電気部品が正常に動作しない、または短絡する
  • 部品が想定より早く故障する、あるいは本来の性能を出せない

粉じんの多い環境や、洗浄水を使う現場(ウォッシュダウン)では、IP65 の筐体が適します。

IP54 と IP65 は何が違うのか

産業用の装置でよく使われるのは IP54 と IP65 の2つです。

  • IP54 = 粉じんの侵入を制限し、あらゆる方向からの飛まつ水に耐える
  • IP65 = 粉じんの侵入がなく、あらゆる方向からの噴流水に耐える

IP54 の1桁目「5」は、粉じんの侵入を完全には防がないものの、動作に支障が出る量は入らないことを示します。接触に対しては完全に保護されています。2桁目の「4」は、あらゆる方向から筐体に飛まつする水に対して保護されていることを示します。IP54 の筐体は、粉じんが中程度に発生する環境や、装置の外側に水がかかる可能性のある環境に適します。

IP65 の1桁目「6」は、粉じんが侵入せず、接触に対しても完全に保護されていることを示します。2桁目の「5」は、あらゆる方向からノズルで噴射された水に対して保護されていることを示します。

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装置を選ぶときに IP保護等級を確認すべき理由

生産現場で装置を選ぶとき、IP 保護等級を確認しておくことには次の意味があります。

  • 稼働の安定 = 環境要因に耐えられる装置を選ぶことで、予期しない停止を防ぎ、生産量を維持できます
  • 寿命 = 粉じんと水に対する保護が適切であれば装置は長く使え、部品交換や修理の頻度も下がります
  • 安全 = 有害な粒子や液体の侵入を防ぐことは、装置と作業者の両方を守り、感電や誤動作のリスクを下げます
  • 規格への適合 = 業界の規格や規制に適合していることは、法令面でも運用面でも欠かせません

IP54 の1桁目「5」は、粉じんの侵入を完全には防がないものの、動作に支障が出る量は入らないことを示します。接触に対しては完全に保護されています。2桁目の「4」は、あらゆる方向から筐体に飛まつする水に対して保護されていることを示します。IP54 の筐体は、粉じんが中程度に発生する環境や、装置の外側に水がかかる可能性のある環境に適します。

「生産設備に適した IP保護等級を理解して選ぶことは、その現場の要求に合った、生産性が高く効率的で安全な作業環境をつくることにつながります。」
— Sascha Ammesdoerfer(ビデオジェット マーケットインテリジェンス ディレクター)

ビデオジェット製品の IP 保護等級

ビデオジェットの産業用インクジェットプリンタ、レーザーマーカー、産業用サーマルプリンタ、オートラベラーは、それぞれ異なる IP 保護等級に対応しています。多くの機種は IP54 を標準とし、IP65 へのアップグレードを選択できます。

IP 保護等級 早見表

固体物・粉じんに対する保護(2桁目)

数字内容
0保護なし
1直径 50mm を超える固体物(手など)に対する保護
2直径 12mm を超える固体物(指など)に対する保護
3直径 2.5mm を超える固体物(工具・電線など)に対する保護
4直径 1mm を超える固体物(小型の工具など)に対する保護
5粉じんの侵入を完全には防がないが、動作に支障が出る量は侵入しない
6粉じんが侵入しない

水に対する保護(2桁目)

数字内容試験条件
0保護なしなし
1鉛直に落下する水滴によって有害な影響を受けない試験時間 10分/水量 毎分 1mm の降雨相当
2筐体を通常の位置から 15° まで傾けた状態でも、鉛直に落下する水滴によって有害な影響を受けない試験時間 10分/水量 毎分 3mm の降雨相当
3鉛直から 60° までの角度で噴霧される水によって有害な影響を受けない試験時間 5分/水量 毎分 0.7L/水圧 80〜100kPa
4あらゆる方向から筐体に飛まつする水によって有害な影響を受けない試験時間 5分/水量 毎分 10L/水圧 80〜100kPa
5あらゆる方向からノズル (6.3mm) で噴射される水によって有害な影響を受けない試験時間 3分以上/水量 毎分 12.5L/水圧 3m の距離で 30kPa
6あらゆる方向から強い噴流 (12.5mm ノズル) で噴射される水によって有害な影響を受けない試験時間 3分以上/水量 毎分 100L/水圧 3m の距離で 100kPa
7水深 1m まで水没させても、有害な量の水が侵入しない試験時間 30分/水深 1m での水没
8水深 1m を超える水中に連続して沈めても有害な影響を受けない(水深はメーカーが指定)試験時間 水中への連続浸漬

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